羽ばたけ撫子たち~卒業生の活躍~ - Messages from Kichijo OGs -

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インタビュー

私の中国イメージ、広く言えば、アジア観とは、高校時代の経験に基づいているといってもいいでしょう。吉祥での経験は、今の私の基礎となる部分を形作っているように思います。

茨城大学人文社会科学部法律経済学科准教授長田華子さん

現在の様子を聞かせてください。
長田華子さん(以下、長田華子 茨城大学人文社会科学部法律経済学科でアジア経済論を教えています。大人数の講義に加えて、少人数のゼミナールや大学院生の指導などを行っています。その他、茨城県常陸大宮市の男女共同参画推進会議の委員や一般社団法人茨城県経営者協会経営教育委員会の委員を務めています。大学院入学後から、バングラデシュやインド西ベンガル州の縫製産業で働く女性たちを調査、研究しています。現在でも、毎年最低1回は、バングラデシュやインドでの現地調査を遂行しています。 2018年の英国・ロンドンでの研究生活をきっかけに、フェミニスト経済学という学問領域に関心を深め、帰国後も多くの時間を割いて研究しています。現在は、日本で初めての初学者向けのフェミニスト経済学のテキストを執筆すべく、毎月、研究仲間と研究会を行っています。
吉祥時代を振り返ってどのようなことを感じていますか。
長田華子 個性豊かな友人たちと過ごした吉祥での生活は、私にとってかけがえのない財産です。また、生徒一人一人に真摯に向き合い、生徒の個性をさらに伸ばしてくださる先生方にも心より感謝しています。 私は、高校2年生の夏に、アメリカ・マサチューセッツ州にある、ウォルナット・ヒル・スクールでの短期留学プログラムに、また、高校2年生の春には、中国研修ツアーに参加しました。アメリカでも中国でも、日本とは異なる文化や慣習を有する国で、一定期間、身を置き、多様な価値観を有する人々と出会ったことは、貴重な経験でした。 特に、中国では、北京師範大学附属実験中学の在校生と交流する機会に恵まれ、同い年の女子高生と英語で、将来の夢について語り合ったことは、印象に残っています。互いに語り合う中で、自分と同じ世代の中国の女性は、「なんて自律的なのだろう」と思ったことは今でも覚えています。私の中国イメージ、広く言えば、アジア観とは、こうした高校時代の経験に基づいているといってもいいでしょう。吉祥での経験は、今の私の基礎となる部分を形作っているように思います。
これからの夢をお聞かせください。
長田華子 お蔭様で、これまでたくさんの方々とのご縁に恵まれ、充実した研究生活を過ごしています。これからの夢は、これまでと同様、引き続き、社会に必要とされる研究をすること、そしてその成果を社会に還元することです。よりよい未来社会を築けるよう、そのお役立てができれば嬉しいです。 また今後は、後進の育成にも力を注ぎたいと思います。私は、大学時代からポスト・ドクター時代まで尊敬すべき女性研究者から指導を受けてきました。これまで私が様々な困難に直面した際には、親身になって指導してくださいました。こうした先生方をお手本に、将来を担う女性研究者を育成したいと思います。
吉祥生へのメッセージをお願いします!
長田華子 吉祥生へのメッセージは、3つあります。第1に、いろいろな人との出会いや経験を大切にしてほしいということです。いろいろな人とは、異なる国籍、人種、民族、文化、価値観を持った人々を意味します。そうした人々との出会いや、そこで得られた経験は、必ずや、皆さんが将来の仕事を見つけるヒントにつながると思います。また、そうした人々と出会うと、自分自身が抱えている悩み事がいかに「ちっぽけ」であるかもわかることでしょう。 第2に、失敗を恐れずに挑戦することです。失敗から学ぶことは多いものです。また失敗している人ほど、他者に優しく接することができると思うのです。 最後になりますが、皆さんの親世代に比べて、皆さんが生きる社会では、女性の生き方や働き方はますます多様になるでしょう。ぜひ、社会に貢献できる人になってください。皆さんの能力や優しさを欲している人々は、世界中にたくさんいるからです。

Profile

長田華子さん

茨城大学人文社会科学部法律経済学科准教授

経歴

1998年4月
吉祥女子高等学校入学
2001年3月
吉祥女子高等学校卒業
2005年3月
東京女子大学文理学部社会学科卒業
2005年4月
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科入学
2006年4月
バングラデシュ人民共和国ダッカ大学社会科学部女性学・ジェンダー学科留学
2008年3月
お茶の水女子大学大学院同研究科修了(修士:社会科学)
2012年3月
お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科修了(博士:社会科学)
2013年4月
日本学術振興会特別研究員(PD・東京大学社会科学研究所)を経て、2014年4月より現職
2018年4月
茨城大学の在外研究制度を利用して、英国・ロンドン経済政治学院(London School of Economics and Political Science)にて1年間研究を遂行