2024年度の一年留学を終え、2名の生徒がカナダのブリティッシュコロンビア州、バンクーバー島のダンカンにある姉妹校Queen Margaret’s Schoolから帰国しました。姉妹校留学生には、約3ヶ月ごとの留学レポートが課されています。そのレポートから一部抜粋してご紹介します。留学生活の詳細を垣間見ることができるレポートです。 今後一年留学を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
【授業】
Social Studies(社会科): 地理の単元に入りました。世界各国の人口ピラミッドを見て、少子高齢化のよる影響について学びました。長寿の国や列車の運行システムの素晴らしさの例として何度も日本が出てきて誇らしかったです。
Accounting(会計学): 固定資産・債券・会計におけるAIの活用について学びました。今学期はパーセンテージの計算が多く、表を頻繁に利用しました。特に固定資産の計算は、方法によって資産価値が変動することがわかり、興味深かったです。
Science(理科):3学期は物理の単元でした。物理は日本にいた時から苦手意識の強い科目だったので、テスト前は、より多くの時間をかけて取り組みました。今期は、力学の基礎となる様々なエネルギーについて学びました。マウストラップを使った車を作るプロジェクトでは、より長い距離を走らせる構造作りに苦戦しましたが、最後のレースで走行距離一位となり、努力の報われる結果となりました。
PE(体育): 春休み明けすぐに陸上大会があり、最初の一か月は様々な陸上競技に取り組みました。長距離走や短距離走だけでなく、円盤投げ・やり投げ・棒高跳びなどと様々な競技を体験しました。ラグビーに取り組みましたが、ラグビーは広いコートを走り回るので、とてもハードです。体格のいい男子のタックルにはじき飛ばされないよう、なんとか頑張りました。
【春休みのホームステイ】
3月も冬休みと同じホームステイ先にお世話になりました。(写真参照)既に家のルールやホストファミリーのことも理解していたので、前回よりすぐに生活に慣れました。冬休みとの大きな違いは、ホストファミリーの経営しているカフェが、休みなく営業していた点です。冬はクリスマスと新年の休暇があり、ほとんど毎日、ホストファミリーと家で過ごしました。今回の滞在では、日曜日を除いて毎日、朝の7時半から3時まで、カフェの営業があり、私も朝早くから、お店の手伝いをしました。常連のお客さんと親しくなったり、イースターに向けてチョコを作ったりして、とても充実した日々でした。一人で商品のチョコレート製作を任された時はとてもうれしかったです。また、ホストマザーと晩ごはんの用意をするのが日課で、一週間の献立を考え、買い物に出かけ、たくさん話ができました。
【寮のイベント】
今学期も、たくさんのイベントに参加しました。最も記憶に残っているのは、イースターのエッグハントです。学校の敷地全体に撒かれたイースターエッグをみんなで競い合って探すのはとても楽しかったです。学校近くの池へのピクニックでは、前日にサンドイッチやお団子を用意して、池の周りでのんびりと過ごしました。4月の末にはブッチャート・ガーデンにも行きました。ハイティーでおいしいお菓子と紅茶をいただいた後、隅々まで手入れの行き届いた庭園を散策したり、写真を撮ったりして過ごしました。
【野外研修】
5月の野外研修で、ストラスコナ州立公園(写真参照)へ行きました。私は、研修を通じて「新しいことに挑戦する大切さ」を学びました。ストラスコナ州立公園は、ブリティッシュコロンビア州で最も古い州立公園です。私はリバーハイキングに登録されました。想像していた「ハイキング」とは異なり、山林はとても険しく、岩や木の根が張ったでこぼこ道、急な坂道が続き、歩くのさえ大変でした。コース途中に山小屋はなく、夜はテントと寝袋で休みました。川の水を薬で浄化して飲料水にし、食器や食器も十分には洗えませんでした。地面に落としてしまった食べ物も、ついた土を払って食べました。外からやってきた私たちは自然の中では「よそ者」で、それは自然環境・生態系の保護のためとのこと。文明社会に慣れきった私にとって、一つ一つが試練と新たな発見でした。ひたすら歩く中、雄大な山の風景が私たちの疲れを癒してくれました。そして、いよいよゴール地点に辿り着くと、そそり立つ岩山の麓に澄んだ湖が目の前に広がりました。氷河から融解した水が流れこんだ湖の湖面は透明で、とても美しいものでした。ここまで頑張ってよかったと心の底から思いました。頑張った先に見えた美しい景色を私はこの先ずっと忘れないと思います。当初は不安だったキャンプ泊、ハイキングも、インストラクターの助けを借りて無事に終わり、この上ない達成感を味わいました。最初の不安は、行動しなければ得られない感動、また一つ自分の成長につながった嬉しい気持ちに変わりました。「やったことのないことでも、まずは挑戦してみるべき!」と改めて感じた経験でした。
【まとめ】
昨年の9月から始まった留学生活もあっという間に過ぎました。たくさんの楽しみと不安を抱えながら始まったカナダ留学は、日本とは違うこと、慣れないことばかりでした。日本での「当たり前」が通用しないことも多く、最初は、苦悩もたくさんありました。でも、たくさん悩み、少しずつ自分の中の「当たり前」との折り合いをつけながら、辛いこともポジティブに捉えられるようになりました。カナダで出会った人々が常に励まし、支えてくれたお陰です。学校、寮生活を通じて、カナダ、中国、台湾、メキシコなどの様々な国籍の人達と、親しい友人関係を築き、たくさんの思い出を作ることができたのは、私の一生の宝物となりました。留学中、親に頼らず、一人でしなければならないことが増え、自分がこれまで「いかに守られてきたか」に気づきました。困った時は、自分から周りに働きかけなければ事態は変わらないということ、日本のように感じ取ってくれると思わず、きちんと口に出して伝えることが大切ということも学びました。カナダでの暮らしを経て、もっと英語で話せるようになりたい、もっと日本について、世界について知りたいと思うようになりました。留学中は楽しいことばかりでなく、時には大変なこともありましたが、留学して本当に良かったと思いました。私の背中を押し、全面的にサポートをしてくれた両親、日本から応援してくれた先生、友人にとても感謝しています。